今年も残すところあと2日。 12月30日は「小晦日(こつごもり)」と呼ばれ、歳神様(としがみさま)を迎えるために場を清める大切な日です。
「穢れ(けがれ)」の語源は「気枯れ(きがれ)」であるとも言われます。つまり、使い果たして枯渇したエネルギー状態のこと。
今日は、東洋医学の深い知恵と、日本古来の神事である巫女舞の動きを融合させ、枯渇した気を満たす「禊(みそぎ)のボディワーク」をご紹介します。
目次
1. 東洋医学詳解:冬は「閉蔵(へいぞう)」と「腎(じん)」の季節
万物がエネルギーを蓄える「閉蔵」
東洋医学の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』では、冬の3ヶ月を「閉蔵(へいぞう)」と呼びます。 これは、門を閉じて鍵をかけ、エネルギーを外に漏らさないように深く蓄える時期という意味です。
この時期に無理をして動き回ったり、汗をかきすぎたりして「陽気(ようき)」を発散させてしまうと、春になってから体調を崩す原因となります。12月30日は、静かに内側へ意識を向けるべきタイミングなのです。
生命の源「腎(じん)」と「精(せい)」
五行説において、冬に対応するのは「腎(じん)」という臓器です。西洋医学の腎臓とは異なり、東洋医学の腎は「蔵精(ぞうせい)」といって、生命エネルギーの根源である「精(せい)」を貯蔵するタンクの役割を果たします。
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先天の精:両親から受け継いだ生まれながらのエネルギー。
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後天の精:食事や呼吸によって後から補われるエネルギー。
年末の疲労で腰が痛む、耳鳴りがする、足腰が冷える…これらはすべて「腎虚(じんきょ)」、つまりタンクの残量が減っているサインです。 腎を養うことは、エイジングケア(抗老化)そのものであり、若々しさを保つ鍵となります。
2. 巫女舞×経絡:天と地を繋ぐ「腎経」のアプローチ
巫女舞の「天地を繋ぐ」という所作は、実は東洋医学的にも理にかなっています。
足の少陰腎経(あしのしょういんじんけい)
「腎」のエネルギールートである「腎経」は、足の裏にあるツボ「湧泉(ゆうせん)」から始まり、内くるぶしを通り、体内を巡って喉元まで上昇します。
巫女舞の基本姿勢である「すり足」や、大地をしっかりと踏みしめる動作は、まさにこの「湧泉」を刺激し、地からのエネルギーを吸い上げる行為。 そして、背筋を伸ばして天を仰ぐ動作は、「命門(めいもん)」と呼ばれる腰のツボ(生命の火が宿る場所)を活性化させ、全身の冷えを取り除く効果が期待できます。
3. 【実践】腎気を満たし邪気を払う「天地開闢(てんちかいびゃく)ストレッチ」
それでは、「閉蔵」を意識し、エネルギーを内側に蓄えながら邪気を外に出す、特別なワークを行いましょう。 お正月の準備の合間に、3分ほど時間をとって行ってみてください。
準備:丹田(たんでん)の確立
足を肩幅に開き、足裏の「湧泉」(土踏まずの少し上、足指を曲げた時に凹む所)で大地を掴むように立ちます。 おへその下三寸にある「関元(かんげん)」=丹田に意識を集中させます。ここに「気」のボールがあるイメージです。
動作:腎経を伸ばし、気を巡らせる
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【納気(のうき)】 鼻から深く息を吸いながら、大地のエネルギーが足裏(湧泉)から吸い上げられ、内太もも(腎経ルート)を通って丹田に溜まるのをイメージします。
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【天頂(てんちょう)へ】 両手を合わせ(合掌)、そのまま頭上へ突き上げます。この時、肋骨と骨盤の間を引き離すようにコア(体幹)を伸ばします。これで「三焦(さんしょう/水と気の通り道)」が通ります。
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【呼気と祓い】 口から「はぁーっ」と音にならない音で息を吐き出します。これは「邪気吐出(じゃきとしゅつ)」といって、体内の淀んだ「水毒(すいどく)」やストレスを排出する呼吸法です。 手はゆっくりと横へ広げながら下ろし、最後に指先から不要なものがすべて流れ落ちるイメージで脱力します。
ポイント 動作はゆっくりと、水が流れるように行います。激しい動きは禁物です(陽気を漏らさないため)。
美の結論:「腎」が満ちれば、髪と肌が潤う
東洋医学では「腎は髪の華(はな)」と言われます。 腎の気が充実していると、髪は黒く艶やかに輝きます。また、腎は体内の水分代謝を司るため、肌の潤いにも直結します。
12月30日にこのエクササイズを行い、「腎」を養うことは、高価なトリートメントをする以上に、お正月のあなたの姿を美しく、神々しく見せてくれるでしょう。
冷え込む夜は、黒豆や黒ごま、昆布など、腎を補う「黒い食材」を夕食に取り入れるのもおすすめです。 身体の内側(腎)と外側(経絡)の両面から「禊」を行い、清らかな心身で新年をお迎えください。
